全国の消費生活センターに寄せられた2021年の中古自動車の相談件数は、前年の1.25倍の1,519件となりました。2022年も増加傾向にあります。
専門的な知識を持つ買い手がその立場を利用して、知識のない売り手に対して強引に契約を迫る悪質なケースもあります。自動車の専門知識を持つ必要はありませんが、トラブルが起こる背景や事例、理由を知ることで回避策を身に着けることは可能です。
この記事では、実際に起こっている車買取時のトラブルや、未然に防ぐ方法を解説します。
3大トラブル事例
車の売却トラブルは大きく3つに集約されます。
- 強引な勧誘・契約
- 高額なキャンセル料の請求
- 契約後の査定額の減額
一概に買い手が悪いとも言い切れず、契約書の内容を確認していなかったことや、過去に事故を起こしていたことを告知していなかったなど、売り手側にも何らかの問題があるケースもあります。
トラブル事例を確認しながら、未然に防止する方法や解決法を身につけましょう。事例として掲載しているのは、実際に消費生活センターに寄せられた相談内容です。
強引な勧誘・契約
【事例1】
査定時に強引に契約させられ、車を持っていかれた。
【事例2】
事業者が居座り帰らない様子だったので、やむなく契約してしまった。
【事例3】
勝手に契約したことにされていて、断ったらキャンセル料を請求された。
これらの事例は、悪質な買取店によるものと考えて間違いないでしょう。中古車店は仕入れをしなければ商売が成り立たないため、何とか売るための車を調達したいと考えています。
買取店の中にはノルマとも言うべき目標が課されていることが多く、それを達成したいという意識が働きます。それが強引に契約させようとする行為に繋がるのです。
おすすめの方法としては、複数の店舗に査定の依頼をしてください。一店舗だけの査定は相手の言いなりになってしまうことが少なくありません。
複数の店舗に一括査定を出すサービスがあります。一括査定を依頼すると、効率的に複数店舗から査定してもらうことが可能です。ただし、一括査定サービスは書き込んだ情報をもとに、営業の連絡が必ずと言っていいほど入ります。その点には注意してください。
高額なキャンセル料の請求
【事例1】
契約後すぐにキャンセルを申し出たら、高額なキャンセル料を提示された。
【事例2】
高額なキャンセル料の算出明細が示されない。
基本的に売却の契約書を交わした場合、キャンセルすることはできません。特に状態が良くて人気車の場合、すぐに買い手がつきます。売買の交渉段階に入っていたら、キャンセルに応じる店舗はほとんどないでしょう。
店舗がキャンセルに応じた場合、キャンセル料が発生します。5万円程度が一般的ですが、名義変更などにかかった人件費、クリーニング代、整備費用などが嵩んで高額になることも少なくありません。
事例の中で「高額なキャンセル料を提示された」とありますが、売り手側が無理な要求をしている可能性もあります。
売却をする際は、キャンセルには応じられないことがほとんどであることを心得ておきましょう。そのためにも、複数の店舗で査定を出し、納得した価格で売却することをおすすめします。
想定していたよりも高い査定額が出て、すぐに買取を希望する人もいます。冷静になって考え、売却すべきかどうかを判断してください。
契約後の査定額の減額
【事例1】
修復歴を告げ、2回も査定して決まった売却額が、突然減額された。
【事例2】
引き渡した10日後に、事業者から一方的に契約を解除すると言われた。
契約書を交わした後になって、査定額の減額が言い渡されることは、比較的多く見られる事例です。そして、トラブルに発展しやすい事例の一つです。
契約後の減額要求には2つの要因があります。
- 隠されていた事実の発覚
- 追加の修理や整備の必要性
事故車または修復歴車であることを隠して売却し、後から発覚するケースがあります。売り手側は事故歴などを告知する義務があります。それを怠って査定士が痕跡を見落として査定額に反映されず、後から発覚した場合、買い手側は減額を要求する権利があります。
この場合は売り手側に責任があるため、減額には応じる必要があるでしょう。
日本自動車査定協会の実態調査において0.2~2%の確率でミスが発生することがわかっています。数分から数時間の検査で、車の状態を完全に把握できるわけではありません。整備工場で後から不具合が見つかることもあります。
年式の古いものや、走行距離の長い車は注意が必要です。
適切に事故や不具合などの申告を行ったにも関わらず、減額を言い渡されたのであれば、応じる必要はありません。その場合は消費生活センターなどに相談しましょう。
なぜトラブルが起こるのか?
最近になってトラブルが増えているのは、なぜでしょうか?
中古車市場の盛り上がり
コロナ禍で半導体を中心としたサプライチェーンの崩壊により、新車の製造台数は一時著しく落ち込みました。人気のランドクルーザーは、フルモデルチェンジをしたにも関わらず、旧型のモデルが新車価格を上回るという異常な過熱ぶりに見舞われました。3,000万円もの値段がついた中古車もありました。
新車を購入しても納車までに1年から数年かかるという状況で、中古車市場が盛り上がりを見せたのです。このような状況だと、買い手は人気モデルを何としてでも手に入れようとします。しかも、この状況が長く続くとは考えられません。
何としてでも手に入れようという買い手側の意識が、トラブルの元となる強引な手法にも表れているのでしょう。
契約者の高齢化
売却を希望するドライバーの高齢化も背景にあります。中古市場や買取相場に対する知見が薄く、強引な接客スタイルに耐性がありません。
悪質な買取店は、査定する車よりも人に目をつけ、できる限り手早い方法で安く仕入れようとします。
高齢者が一人で買取の相談に行くことは避けてください。家族や友人など、ある程度の知識がある人と訪れるのが良いでしょう。
情報の非対称性
情報の非対称性とは、売り手と買い手のどちらかが情報を多く持つことによって、有利に交渉を進めることを言います。悪い事例では、投資詐欺が典型的なものです。情報を多く持つ売り手が、素人に対して儲かることを誇張し、高額な投資商品を販売するのです。
車の買取も情報の非対称性が生じます。買い手側の情報量が多く、有利に交渉を進められる構造を持っているためです。
ただし、優良な店舗は情報を開示し、適切な説明を加えます。情報を出して売り手側に判断を委ねるのです。一方で、悪徳な店舗は適切な情報開示を行わず、強引に話を進めることがあります。
トラブルを未然に防ぐ方法は?
トラブル回避の方法は、それほど難しくありません。どのようなトラブルが起こるのかを把握した上で、以下の2つを実践してください。
- 家族や友人に立ち会いを求める
- 信頼できる買取専門店に依頼する
家族や友人に立ち会いを求める
査定や契約、引き渡しには第三者に立ち会ってもらいましょう。ある程度、車の知識がある人と一緒だと安心ですが、そのような人に心当たりがなければ誰でも構いません。
一人だと相談できる人がおらず、半ば監禁状態になってしまうことも少なくありません。誰かといれば安心して交渉や相談ができます。
信頼できる買取専門店に依頼する
査定に出す店舗は、事前にWebやSNSなどで調査しておくとよいでしょう。公式ホームページにだけ目を通すのではなく、口コミ評価を確認してください。
評判の良し悪しを判断することにおいて、「査定額が安かった」など金額に関する口コミは、あまり気にする必要はありません。安い・高いの感じ方は人によって異なるためです。
「説明不足」「質問に答えない」「強引に契約された」など、不信感に繋がる口コミがある店舗は要注意です。
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契約内容を確認する
契約内容は必ず確認しましょう。合計金額、支払い時期と方法、契約成立後の事故の責任、キャンセル規定など、重要な事項が記されています。
自動車の売却は、クーリングオフの対象にはなりません。キャンセルには特に注意を払ってください。
修理や事故歴を話す
過去に事故などを起こした場合は、必ず申告しましょう。なお、窓ガラスやバンパーなどの軽微な破損の修理は、申告してもほとんど査定額には影響しません。
もし、それを理由に大幅に減額するようなことがあれば、おかしいと思ってください。
買取業者と交渉する
交渉するのも方法の一つです。高級車や輸入車の場合、高額なオプションパーツをつけていることが少なくありません。
買取店の中には、オプションパーツを適正に査定しない・できないところもあります。そのような買取店であれば、交渉する余地はあります。
トラブルになってしまった場合の相談先
誰にも相談できなくなった場合、以下のような場所に連絡するのが良いでしょう。
消費生活センター
消費生活センターは、消費者ホットラインを設けています。
局番なし:188
休日相談も行っています。詳しくは、相談ページをご覧ください。
弁護士
身近な弁護士に相談するのも方法の一つです。相談料の相場は、1時間5,000円から10,000円程度です。無料相談を行っている弁護士事務所もあります。
JPUC車売却消費者相談室
JPUC車売却消費者相談室は、車買取業界に精通したベテラン相談員が質問やトラブルの解決サポートを行っています。
電話:0120-93-4595
JPUCは、消費者が安心して取引できるように車買取業界の健全化を目指して設立された一般社団法人です。安心して相談できます。
知っておきたい「瑕疵担保責任」
瑕疵担保責任は、車を売却するに当たって破損、修理歴、事故歴などを説明する義務を追っていることを言います。2020年4月に民法改正で「契約不適合責任」に変更されましたが、現在でも瑕疵担保責任という名称が一般的です。
契約者は、自身が申告義務を負っていることを忘れないようにしてください。
信頼できる買取専門店に相談するのが一番
買取専門店に相談する際は、信頼できるお店を選ぶのが最も重要です。特に高級車や輸入車、希少車はプロフェッショナルが在籍する専門店に相談してください。
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