中古車価格がかつてないほど高騰しました。
2021年8月にトヨタからランドクルーザーの新型モデル300が発売されましたが、型落ちとなった200が新車価格よりも高い900万円の値をつけることも珍しくありませんでした。
中古車バブルとも言える状況は、複合的な要因が絡み合っています。その中でも価格高騰の主要因の一つとなっていた、新車供給のストップと遅延は大幅に改善されました。
中古車の高騰はいつまで続くのでしょうか?高騰している理由と今後の動向について解説します。
なぜ中古車価格は高騰しているのか?
はじめに中古車が高騰している理由を理解しましょう。背景が分かると、自動車の買い時・売り時が見えてきます。
趣味性の高い中古車が人気になった
中古車の中でも価格が過熱している領域が、クラシックカーを中心とした趣味性の高い車です。コブラやコルベットなどのアメリカのクラシックカーや、フェラーリ、ポルシェ、メルセデスベンツなどの往年の名車は、昔から数千万円から数億円で取引されていました。
近年、価格が高騰しているのが昭和の日本車。人気の高いスカイラインは3代目であるハコスカ(C10型 GTR)は価格が高いことで知られていましたが、5代目のジャパンは見向きもされないモデルの一つでした。
しかし、ジャパンですら200万円台で取引されるようになっています。状態の良いハコスカは1,000万円を超えるものが出てくるようになりました。
趣味性の高いクラシックカーの場合、絶対的な数が少なく、状態の良いものとなると更に絞られます。そこにブームが重なると、需要と供給のバランスが崩れて値段が高騰します。
クラシックカーは投資対象としても知られており、値崩れしづらい領域の一つです。名車として知られるモデルの値段が下がる可能性は低いでしょう。むしろ、年月を重ねるごとに価値は高まる可能性があります。
コロナ禍による半導体不足で新車の供給が滞った
ランドクルーザーの型落ちモデルの中古車が高騰した主な要因の一つが、半導体の供給不足です。
新型コロナウイルス感染拡大により、サプライチェーンに深刻な影響が出ました。部品を製造する工場は感染予防を目的として操業を停止し、港湾作業が滞ったために輸送もストップしたのです。
コロナ禍でトヨタのプリウスは納車まで1年半、ランドクルーザーは4年を超えるとも言われました。ドライバーは欲しいモデルがあるにも関わらず、新車を手に入れることができませんでした。それが供給量に限りがある中古車の高騰を招きました。
あまりにも納車に時間がかかったため、新車と遜色のない状態の良い中古車であれば即納車できることを考えると、多少高くても構わないという心理が生まれました。
原油価格が高騰した
2022年にロシアがウクライナに侵攻した影響も中古車高騰に影を落としました。ヨーロッパを中心として天然ガスの供給が途絶え、原油価格が高騰したからです。
原油価格の高騰は自動車の製造コストを圧迫します。利益が出づらい状況に陥った場合、経営者は自動車の減産の意思決定を行います。
半導体不足も相まって、日産やホンダは不安定な生産計画に悩まされ、減産に踏み切ったケースもありました。
リモートワーク推進で郊外で生活する人が増えた
コロナ禍で郊外に生活拠点を作る人が増加しました。公共交通機関が発達した都市部での生活は自動車が必要ありません。しかし、郊外での生活は自動車が生活を支えます。
都市部から地方への移住した人の多くは、車に強いこだわりがありません。必要な足を手にしようと考えているため、新車を購入する意識が低いと言われています。
リモートワークの推進で中古車需要が盛り上がったことも、価格の高騰に一役買っています。
中古車のアメリカへの輸入量が増加した
高騰の理由にはアメリカの法律も関係しています。1990年代の人気車に25年ルールが適用されなくなったというものです。
アメリカでは製造から25年経過すると右ハンドルの輸入が解禁されます。アメリカでは90年代のスカイライン、スープラ、インプレッサなどのネオクラシックカーに根強い人気があります。ファンに高値で販売できることから、25年が経過した車を輸出しているのです。
しかも、アメリカでは日本仕様の右ハンドルの車が2018年ごろから人気となりました。90年代の車は輸出の加速で絶対量が少なくなっている上、海外では高値で売れることから、強気の値段がつくようになっています。
かつての人気モデルが販売終了となった
日産は人気車だったジュークの国内の取り扱いを終了しました。シーマとフーガも生産を終了しています。ホンダはNSX、CR-V、S660の生産終了を決めました。日産とホンダは自動車メーカーの中でも合理化を進めている会社で、次々と生産を打ち切っています。
こうした人気モデルの販売終了も、中古車市場を過熱させる要因の一つとなっています。
中古車で価格が高騰した主な車種
中古車市場の調査を行うPROTO総研は、中古車の値上がり状況を調べています。2023年1月の中古車相場値上がりランキングは以下のようになっています。
ランキング上位の中から、国産車を中心に解説します。
トヨタ クラウン 170系
フェラーリのSUVを彷彿とさせるデザインで世間を驚かせたクラウンですが、1999年に登場した170系の価格が高騰しています。
170系は新型が登場する前のクラウンらしさを兼ね備えたモデルで、ドラマや映画などの警察車両としてよく登場します。2000年代を迎える前のシンプルかつ風格のあるテイストを求める人には最適なモデルでしょう。
発売から20年以上経過し、数が少なくなってきました。新型の登場により、かつてのクラウンらしさを求める人が増えるかもしれません。
スバル フォレスター SG系
2004年に発売されたスバルの人気SUVのフォレスターです。SG系は2代目となるモデルで、高い運動性能を発揮し、日本とアメリカを中心にヒットしました。発売から2年で累計生産台数は100万台を突破しています。
台数が多く、中古車の数は比較的豊富です。人気を失ったことで一時的に価格が下がりましたが、性能が高いことから底値で良質な車を買おうとするユーザーの目を引き、需要が膨らみました。
日産 シーマ F50系
2022年3月に生産終了が発表されたシーマです。F50系は3回のモデルチェンジを経て誕生したモデルで、ボディサイズの拡張が施され、日産のフラッグシップとなりました。
4.5リッターと排気量が大きく、ターボチャーチャーを備えているモデルもあり、ハイパワーなエンジンが特徴でした。大人数でのドライブや長距離、山間部などの走行でもストレスを感じることがありません。
「車線逸脱防止支援システム」など、最新のテクノロジーが搭載されていました。
スバル レガシィ BE系
BE系はレガシィのスポーツセダンモデルです。ステーションワゴンやツーリングワゴンのイメージが強いレガシィのセダンが登場したのは1998年。ツインカムエンジンを搭載し、スポーツセダンを強調した作りになっていました。
1999年にはポルシェデザインと共同開発して生まれた特別仕様車「BLITZEN(ブリッツェン)」を販売しています。
BE系は フォレスター SG系と同じく、中古車価格は底値で推移していました。改めてその価値が見直されているのでしょう。
日産 スカイライン V35系
スカイラインをグローバルセダンとして改良したモデルがV35系です。2001年に登場しました。
エンジンは伝統の直列6気筒ではなく、V型6気筒を採用。リアランプの丸目4灯も見直されました。これは新モデルとして開発が進められたものの、途中でスカイラインに名を冠することに決まったためと言われています。
スカイラインらしさを失ったV35系はファンの失望を買い、販売不振に苦しみました。中古車市場では、スカイラインにしては手頃な価格で推移していました。
しかし、スカイラインというフィルターを通さずに見ると、ヨーロッパ車のような流麗かつ洗練されたデザインが目を引き、20年という時を経ても古臭さを感じさせません。
中古市場で人気が高まっているのは、自動車そのものの魅力が見直されているからでしょう。
中古車価格高騰は2023年に解消される?
コロナ禍からの回復が鮮明となり、各自動車メーカーは生産体制の正常化を取り戻しました。中古車市場の異常なほどの高騰は落ち着きを取り戻しています。
日本経済新聞は2023年3月18日に中古車価格の下落を報じ、2020年6月から中古車価格は上がり続けていたものの、2023年2月に2年9か月ぶりに前年を下回ったとしています。
半導体不足解消で2023年の新車販売台数は300万台が目安に
中古車市場の高騰を抑え込む最大の要因が、新車の供給体制が整備されたことです。そしてそこには半導体の供給不足が解消されたことが背景にあります。
日本自動車販売協会連合会は、2023年の新車販売は300万台を目安にすると発表しました。2022年の新車販売台数は前年比8.3%減の256万台でした。大幅な揺り戻しが起こると予想されています。
趣味性の高い車は依然として高騰が続くか
ただし、絶対数が少ない人気車の価格が下がることはないでしょう。クラシックカーや現行のフェラーリ、ランボルギーニなどの趣味性の高い車です。
経営者の中には会社の経費で高級車を購入し、数年間で償却。節税効果を得た後で売却、新たな車を購入するというサイクルを繰り返す人もいます。これは昔から行われている節税対策の一つで、高級車を購入するのがセオリーとして確立されていました。
それくらい価値が落ちないものなのです。
クラシックカーは時間の経過と共に希少価値が上がり、価格が上昇することも少なくありません。欲しいと思ったタイミングが買い時でしょう。
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買取価格が高い主な国産自動車(現行モデル)
買取価格が高い現行モデルの国産自動車を紹介します。以下の車は高く売れる可能性が高いでしょう。
- トヨタ アルファード
- トヨタ ランドクルーザー
- スズキ ジムニー
- 日産 エクストレイル
- トヨタ ハイエース
トヨタ アルファード
トヨタのフラッグシップミニバンで、競合を寄せ付けない圧倒的な人気があるモデルです。ミニバンの中では最も販売台数が多く、確固とした地位を確立しました。
高級セダンに匹敵する乗り心地、燃費の良さ、高級感のあるデザインが人気の秘訣でしょう。高級ミニバンというと、日産のエルグランドやオデッセイがありますが、価格面では大きな差をつけています。
トヨタ ランドクルーザー
国内外で多くのファンがいるSUVです。悪路を走破する耐久性の高さが、ドライバーの絶大な信頼を得ています。
特に中東やオーストラリアでの人気が高く、生産されたランドクルーザーの多くは輸出されています。国内で出回らない理由は、円安効果も相まって海外で販売した方が有利だからです。
過酷な砂漠や山岳部で暮らす人が、生活必需品で使っていることからも、ランドクルーザーが故障に強いことを証明しています。
スズキ ジムニー
スズキは2022年度に過去最高売上を達成しましたが、国内の販売台数押し上げに一役買ったのがジムニーでした。
機能性と機動性が高く、軽自動車ということで税制面で優遇される上に管理費もかかりません。
キャンプを中心としたアウトドアブームも重なり、ジムニーの人気は衰えていません。
日産 エクストレイル
日産のミドルサイズSUVで、2013年の発売以来人気を獲得しています。都会的なSUVが多い中で、アウトドアライフを楽しむ車というコンセプトを持たせました。オフロードでの走行性能が高いモデルです。
コンパクトで取り回しがしやすく、7人乗りも選べるなど、バリエーションに幅を持たせました。
トヨタ ハイエース
シンプルなハイエースはリセールバリューが高いことで知られています。デザインが大きく変わらないために年月を経ても価値が落ちづらく、積載量が多いので国内外での需要が高いことが特徴です。
エアロパーツなどでカスタムされる車としても人気があり、最近ではキャンピング仕様に改造する人が増えました。趣味性と実用性の両方を兼ね備えているため、一定の需要がある車なのです。
買取価格が高い主な海外自動車(現行モデル)
スーパーカーを除いて、高額で取引されている海外の車を紹介します。
メルセデス・ベンツ Gクラス
不動とも言える人気のSUVです。軍事用で使われていたモデルが基となっており、無骨なデザインで多くの人を惹きつけています。
人気を得ている理由として、高級SUVの中でライバルがいないことがあると言われています。レンジローバーやBMW X7は洗練されすぎており、ボルギーニウルスやマセラティレヴァンテはスポーツカーに近いテイストです。
実用性の高さと無骨なデザインという点ではランドクルーザーがありますが、メルセデスベンツという圧倒的なブランドの強さがあります。
Gクラスの成功は日本で顕著だと言われています。
BMW スポーツカー及びSUV
Mモデルなどのスポーツカーや、XモデルのSUVも価値が落ちづらいモデルです。
BMWはエンジンの開発に力を入れてきた老舗メーカーで、そのこだわりは長くファンの心をつかんでいます。ファンを失望させない高品質の車を世に送り出し続けてきたことが信頼に繋がり、中古車においても高値で取引される原動力となっています。
ランドローバー ディフェンダー
クロスカントリーモデルの歴史が高いランドローバーディフェンダー110は、ガソリンとディーゼルの2つのタイプが選べる珍しいモデルです。ジープ ラングラーやメルセデス・ベンツ Gクラスはディーゼルエンジンは選べません。
2.4トンという車体重量をものともしない力強い走りや、角ばった独特のデザインが魅力を放っています。
ジープ ラングラー
ジープやチェロキーやレネゲードなどのSUVも扱っていますが、中古車価格が安定しているモデルがラングラーです。
昔から変わらない無骨なデザインで、機能性と堅牢性を兼ね備えています。アウトドアブームによって若者を中心に人気が再燃しています。
2023年は中古車バブルが弾ける可能性もあり
2023年は中古バブルが終焉を迎えるでしょう。特に新車の納期が伸びたことで、型落ちの中古車が新車価格を上回るような過熱感は一服すると見られています。
もし、車の売却を考えているのであれば、早いうちが良いかもしれません。また、国内外の人気モデルは価格が落ちづらく、乗り換えを検討しているのであれば、買取を専門とする会社に査定を依頼してください。プロの目を通して適正な価格を提示してくれるからです。
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