中古車価格が暴落しているという話題をメディアや新聞で目にしたかもしれません。
メルセデス・ベンツのGクラスは入手困難のため、中古車価格は新車価格を大幅に上回るプレミアムがつきました。特にコロナ禍で新車が手に入らない時期は中古価格が暴騰。それに合わせて買取価格も上がりました。そこからの暴落は確かに心配ですが、Gクラスはもともと人気車種のため、値崩れは限定的です。
中古車価格が高騰した理由を知ると、Gクラスを売却するタイミングも見えてきます。
コロナ禍で中古車市場が高騰したのはなぜなのか
Gクラスはもともと、ゲレンデという名の軍用車として誕生しました。メルセデス・ベンツの中でも故障が少なく、有名人が愛用していることから人気に火が付きました。大幅なデザイン変更がなかったために古い車両も高値で取引される傾向があります。
中古市場でも評価額が高かったGクラスですが、コロナ禍で高騰したのはなぜでしょうか。
半導体不足による供給量の制限
新型コロナウイルス感染拡大は、自動車メーカーの生産活動に大きな影響を与えました。ロックダウンによって一部の工場や生産ラインがストップしてしまったのです。また、航空機や船舶の運行にも支障が生じ、荷揚げ作業も停止してしまいました。
特に深刻だったのが、半導体の不足。今や半導体は様々なものに使われています。産業のコメとも言われる通り、人々にとって重要度の高いものです。
半導体は自動車にも欠かせないものとなっており、現在の自動車は30~60ものマイクロコンピューターが使用されています。半導体が入手できなければ、車を製造することができないのです。
Gクラスのように人気のモデルは、需要に対する生産が全く追いつかなくなりました。2022年の新車の予約は、4年待ちが当たり前でした。1日の生産量はわずか25台ほどだったと言われています。
新車が手に入らないため、中古市場が活況になったのです。一時は中古車が新車価格を500万円以上上回るほどの高騰ぶりを見せました。
ウクライナ危機によるエネルギー価格の高騰
ヨーロッパが、ロシア産の天然ガスの禁輸措置をとったことも大きな影響を与えました。エネルギー価格の高騰は、自動車メーカーのサプライチェーンに負荷をかけます。
半導体の供給が通常通り回復したとしても、エネルギー価格の高止まりによって、従来のような生産活動ができなくなりました。人件費、原材料費も高騰し、工場の稼働を高めることができないのです。特にロシアへのエネルギー依存が高かったヨーロッパの国々は強く影響を受けています。
エネルギー価格の高騰がサプライチェーンに打撃を与えていることは、中長期的な影を落とすでしょう。
急速な円安
日本と欧米の金利差を背景として、2022年から急速な円安が進行しました。これはユーロやドルに対して円の価値が下がっているということであり、ヨーロッパの会社からすると魅力の薄いエリアだということになります。
販売戦略上、日本は生産体制や供給体制を強化するエリアとはなりません。優先順位が低いため、車体の供給量が高まることに期待ができないのです。
新車の慢性的な不足が続くと、中古車市場での過熱感は継続するでしょう。
Gクラスが暴落するというのは本当?
狂乱とも言える相場が落ち着いたのは事実です。高年式モデルが1,000万円を軽く超えるような時期がありましたが、バブル相場は解消されました。
暴落ではなく、適正価格に戻りつつあるというのが正しい捉え方です。未だ生産体制は完全に戻っておらず、需要もこれまでと変わらずに旺盛なため、中古車価格が新車価格を上回る状況は続いています。
もし、Gクラスの売却を検討しているのであれば、現在はコロナ前の評価額よりも高くなっている可能性があります。売却のタイミングとしては悪くないでしょう。
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Gクラスの中古車相場
走行距離や状態にもよりますが、中古車は600万円台から3,000万円前後で取引されています。希少車のカブリオレは高値で取引されており、3,000万円を超えるものがあります。
新車販売価格 | 中古車相場 |
1,251~2,218万円 | 650~3,000万円 |
※世界的なインフレで価格は変動しています。
高年式のAMGは人気が高く、1,000万円以上であっても、すぐに売れてしまいます。
V8ツインターボのG550も依然として需要があり、新車販売価格が1,630万円ですが、中古車が2,000万円前後で取引されることもあります。
価格が落ち着いたとはいえ、暴落とは程遠いところにあります。
Gクラスの買取相場
購入してから一定期間が経過したGクラスの買取相場を見てみましょう。買取価格はあくまでも一般的な相場を反映したものです。
【3年後(走行距離2万キロ程度)】
グレード | 新車価格 | 買取価格 |
G550 | 1,630万円 | 1,600万円 |
G63 | 2,075万円 | 2,100万円 |
【5年後(走行距離5万キロ程度)】
グレード | 新車価格 | 買取価格 |
G550 | 1,530万円 | 850万円 |
G63 | 1,970万円 | 1,100万円 |
AMGで走行距離が少ないものの場合、買取価格が新車価格を超えることも十分に考えられます。
リセールバリューが高いモデルには特徴があります。5ドア、ディーゼルエンジンです。5ドアは使い勝手の良さが評価されており、ディーゼルはエネルギー価格が高騰していることもあって需要が高まっています。
カラーは鉄板とも言えるブラックに人気が集中しています。ホワイトも引き合いの強い色です。黄色やオレンジなどの特殊な色はやや評価が落ちる傾向があります。
Gクラスに関連するトピックス
次にGクラスの動向について解説します。
納車時期が短くなった
かつて納車までに4年かかっていた時期もありましたが、現在は2年ほどまで短くなっているようです。ただし、条件や需要によっても異なるため、一概には言えません。
生産体制が落ち着いていることや、2022年から2023年に値上げをしたことで、キャンセルが出ていることも納車時期が短くなっている背景にあるようです。
電動モデルが市場投入?
Gクラスは2024年から電動モデルが出ると言われています。4つの電気モーターを搭載し、オフロード機能も装備される予定です。これにより、エンジン車と遜色のない走破性を持ち合わせます。
新型リチウムイオンバッテリーにより、航続距離が大幅に拡大され、長距離の移動にも十分耐えられる仕様になると言われています。
転売による利ザヤが縮小
Gクラスの価格高騰には、転売による価格のつり上げも影響していました。新車を購入して中古市場で売却すれば、確実と言っていいほど儲けが出るため、一部の人が買占めを行っていたのです。
しかし、中古市場が落ち着きを取り戻し、新車価格も上昇したことで利ザヤが縮小。旨味がなくなってキャンセルしているとの声も聞こえてきます。
価格が高騰した中古車の特徴
Gクラス以外にも価格が高騰したモデルがありました。
海外でも人気が高いランドクルーザー
ランドクルーザーも品薄で中古車価格が新車価格を上回った車です。タフで壊れないことからアメリカや中東、東南アジアでも人気が高く、需要が衰えることのない車です。
トヨタも半導体不足に見舞われたことで生産停止や減産を余儀なくされ、供給量が著しく落ちました。
90年代の日本のスポーツカー
スープラやスカイラインなど、往年のスポーツカーの中古価格も上がっています。これは特にアメリカでの需要が高いため。しかも、アメリカは25年が経過すると、右ハンドル車の輸入が解禁されます。
ドル高も相まって日本車の魅力が高まり、市場が過熱しているのです。
国内で人気の高いN-BOX
ホンダのN-BOXは国内で絶大な人気がある車です。新車販売ランキング上位の常連で、その人気が衰える気配はありません。
大衆車でありながら、需要が旺盛なために中古車も高値で取引されています。
アウトドアブームで需要が膨らんだジムニー
2018年に販売されたスズキの4代目ジムニーは、爆発的な人気を獲得しました。アウトドアブームも重なり、男性から女性まで幅広く受け入れられています。
この車も半導体不足で納車時期が伸びたため、中古車が高値で取引されたモデルです。
Gクラスの売却は専門店に相談を!
Gクラスの買取価格が暴落しているとの噂も聞こえてきますが、実際はそのようなことはありません。世界的に人気の車であり、生産体制も完全に戻っていないことから、中古車は引き続き高値で取引されるでしょう。
走行距離の短いものやAMGのような人気のグレードは高値での買取に期待ができます。新車価格を上回ることも少なくありません。
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